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STORY 1
「皐月!」
そう呼ばれた長身の男は黒いタキシードを来ていた。
声の主に気づき振り返った。
「どうされましたか?お嬢様」
「皐月!私と結婚して!」
目を丸くするとはこのことだろう。
一点にお嬢様と呼ばれる少女のことを見つめていた男はふと我に返ったように言った。
「お嬢様、ご自分の立場をお分かりですか?」
「そんなものとっくの昔から知っているわ!」
「左様でございますか。でしたら、お嬢様はどんな方と結婚することが相応しいかお分かりですよね?」
「ええ。分かっているわ」
「それはどんな方かお聞きしても?」
「構わないわ。私が考える私に相応しいのは皐月よ!」
またもや目を丸くし黙り込んだ皐月という男は思考していた。
「えっと……お嬢様?」
「何かしら?」
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