STORY 1

2/2
前へ
/21ページ
次へ
「お嬢様は春灯(はるひ)家の長女様です。そして、春灯家はとても大きく、世界から注目される財閥のひとつです」 「ええ。そうね」 「ですから、お嬢様はどこかの有名な御屋敷の方とご結婚することが……」 「そんなの関係ないわ!」  そこまで熱弁した皐月の言葉は遮られて終わった。    ひとつ息をついて皐月は言った。 「では、お嬢様」 「なによ?」 「お嬢様が16歳になった時にもその想いが変わらなければ、ぜひ」  皐月がそう言うと少女は頬を赤らめて胸に手を当て言った。 「もちろんよ!変わることなんて無いわ!」 「左様でございますか……」  微笑みながら返した皐月は少女の手を引き廊下を歩いた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加