銀色の雪

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「……助けて、シモッチ」  わたしがつぶやくと、ペンダントから眩しい光が溢れて、天井を真っ直ぐ射抜いた。 『シモッチじゃなくて、シモツチだよ』  頭の中に懐かしい声を聞いた気がした次の瞬間、周りが光に包まれる。 「……わあ」  気づいたとき、わたしは青空の下で雲を見下ろしていた。標高二千三百メートルの白霊山の頂上。そこに立つ石碑の側に、わたしは立っていた。  あれほど吹雪いていた天候が嘘のように、穏やかな風が吹いている。今、おじいちゃんが見たかった景色が目の前にある。わたしは持ってきていたおじいちゃんの写真を空に掲げた。
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