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雪が降ると、わたしは空を見上げる。子供の頃に見た銀色の雪には出会えていないけれど、きっと彼らは今も、空からこの世界を見ているのだろう。
『美冬』
どこからかわたしを呼ぶ声がしたような気がして、振り返った。そこには崩れた雪だるまが佇んでいるだけ。
わたしは地面に転がっていた頭を持ち上げて、胴体の上にしっかりと乗せた。なんだか寒そうだったので、わたしの白い帽子をかぶせてあげる。
大人になったわたしでは、もう精霊たちは見えないのかも知れない。でも、彼らのお陰で、今のわたしはここにいるのだ。
「ありがとう」
わたしがつぶやくと、雪だるまが笑ったような気がした。
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