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「湯気とは違うの?」
「あいつと一緒にされると困るなあ」
彼は不満気に頬を膨らませた。
「あいつは熱源さえあればいつだって現れるだろう? そういう出しゃばりな奴なのさ。その点、僕はつつましい性格だからね」
彼は得意げに話しているが、わたしにはどっちでもいい気がした。
「僕はこの季節を司る冬の精霊の一族さ。こうやって銀色の雪が降る日は、僕たちの時間なんだ。君は運がよかったね」
「ふうん」
理屈はわからなかったが、目の前に現れた不思議な精霊は、わたしにとって、とても興味深かった。
「何か聞きたそうな顔をしているね」
「他の精霊たちには会えないの?」
「いいだろう。特別に紹介するよ」
彼は再び空を舞い、空にいくつもの円を描いた。白い雲のリングの中から、彼にそっくりな精霊たちが舞い降りてくる。
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