銀色の雪

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「お初にお目にかかります。ワイは門松の精霊、カドマヅチや」 「わたしはしめ縄の精霊、シメナヅチ。よろしくお願い申し上げる」 「僕は鏡餅の精霊、カガミベノチ。この中では一番の年下なんだよ」  わたしが首を傾げていると、不思議な姿をした三体の精霊たちが不安げに顔を見合わせ始める。 「彼らは正月に大活躍する三兄弟だよ。美冬も見たことがあるだろう?」  当時のわたしは都会のマンション暮らし。実家に帰ればあったのだろうが、ちゃんと認識するには少し幼過ぎた。 「ひょっとして、最近の子供は知らへんのやないか」 「確かに、薄々感じてはいた。時代遅れなのではないかと」 「まあ、気を落とさないで先輩。さすがに僕のことは知っているだろうから。……ね?」  オレンジを頭に乗せた平べったい顔のカガミベノチは、わたしの顔を覗き込む。 「うーん、鍋の蓋?」 「なっ……」  カガミベノチは驚いた顔をして押し黙ってしまう。見ていた他の二人がなだめるように彼の肩に手を置く。
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