銀色の雪

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「おじいちゃん、死んじゃうの」 「命あるものは、いつか星に帰るんだ」  涙がポロポロとこぼれた。小さな自分ではどうすることも出来ないことが、とても悲しかった。 「泣かないでおくれ。少しだけ、時間を伸ばすことだけは出来たと思うから」  そう言って、シモッチは持っていた杖を振った。わたしの目元がひんやりして、パラパラと凍った涙が落ちていく。 「手を出してごらん」  シモッチはわたしの手のひらに向けて、杖を真っすぐに伸ばした。その先についている丸い石が銀色に輝く。光が集まって、雪の結晶をかたどったペンダントが現れた。 「雪のお守りだよ。それを身に着けていれば、きっと君を守ってくれるだろう。かなえきれなかった願いの代わりだ」  空にかざすと、朝日を受けた結晶が宝石のようにキラキラと輝いた。 「その透き通った結晶は、君の心を映し出して作ったものだよ。困ったことがあったら、僕の名前を呼ぶんだ。いいね? 忘れちゃだめだよ」
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