君と雪の日のこと

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 君が引っ越しする日。普段通りの朝。普段通りの教室。普段通りの授業。君の席だけが空いている。ただ、  いつもと違うのは今日はとても寒いってこと。意味ないって思うけど、つい上靴のつま先を擦り合わせてしまうくらい。 誰かが急に「あ!」と声を上げた。 「こら、授業中だぞー……」と言う先生の声も尻窄みになる。  みんな、同じように窓の外を見ていた。 「綺麗……」「これ、風花って言うんだっけ?」 窓の外、痛いくらい澄んだ空に、まだ雪になりきらない白がふわふわ舞っている。  君もこれを見ている? 離れていても、この一瞬だけ……同じだといいな。
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