2人が本棚に入れています
本棚に追加
一人で勉強していると時間がわからなくなる時がある。
寒さでくしゃみをし目を開いて、僕は自分が居眠りをしていたと気づいた。
「寒……」
窓のカーテンを薄く開けると外が白かった。
「雪だ……」
コートを羽織って外へ出る。ほとんど衝動だった。
引っ越しすると聞き、絶望感に苛まれた四年前。
あの時、風花が舞っていた。手のひらに受ければすぐ溶けてなくなる淡い雪の子ども。
僕の恋の結末を暗示しているみたいで嫌だった。
僕は、まだ踏み跡のない雪に足跡をつける。君は僕のことなんか忘れているだろう。十代の四年なんて半世紀前と同じくらい大昔だ。
白い雪にこれでもかと足跡をつける。君の心に僕という存在が残っていればいいのに。
最初のコメントを投稿しよう!