君と雪の日のこと

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 君と、まさかの再会……からのまさかの交際だった。  私達は二十五歳になった。付き合って半年。恋人として順調だと思う。  同棲も、しちゃったし……。  でも実は、言えていないことがあるんだ。  それは、中学のあの頃から君をずっと好きだった、ということ。  長年初恋を拗らせていたせいで恋愛経験ありませんとか、実は中学の入学式の集合写真を机の前に貼っていましたとか、そんなこと恥ずかしくて言えない。  今、私たちは部屋の中、こたつに二人で入り鍋をつついている。こたつの中はお互い素足。同じく素足の君が私の甲に足を擦り付けてくる。その行動に、とろりと甘いジャムのようなうれしさと、君が引っ越したあの日、寒さに足を擦り合わせた時の寂しさが私の胸に迫ってきた。まるで違う二つの感情が同時に湧いたことに驚いて私がビクッと体を揺らすと、 「ん、冷えるね」 と、君はこたつから出た。  窓に寄った君がカーテンを開ける。ガラスについた結露を手のひらで拭うと、雪が降っていた。
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