MOTHER

…俺たちの旅は順調だった。

たくさんの魔物たちを操り、人々の平穏な生活を脅かす魔王。

その魔王を倒し、世界に平和を取り戻すため、俺たちは立ち上がった。

誰よりも前に出て、その鍛えられし強靭な肉体で魔物たちの攻撃から俺たちをいつも守ってくれる戦士ガリバー。

パーティーの誰かが魔物の攻撃によって傷ついた時は、神より授かりしその力で仲間を癒す僧侶エリー。

有名な大魔道士に弟子入りし、長い月日をかけて習得した強力な魔法を使って、後方から俺たちを援護する魔法使いマルス。

最初は苦労が絶えなかった旅だが、やがて俺たちはたくさんの経験から、魔物たちに負けない力を身につけていった。

数々の洞窟や塔を攻略し、強力な魔物を倒しては、人々に笑顔を取り戻していく。

このまま打倒魔王と意気込む俺たちは船に乗り、海を渡って新たな大陸へとやってきたのだ。

◯

「とりあえずはこの港町フラーラでしばらく滞在して、旅の支度を整えるぞ」

船から降りて、貿易が盛んな港町フラーラにやって来た俺は仲間にそう指示を出した。

「…悪いカズオ。どうやら船酔いしたみたいだ…少し宿屋で休ませてくれ…」

と船に乗った直後からずっと顔色が悪かったガリバーが今にも吐きそうな様子で俺にそう訴えた。