焼きそば

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焼きそば

(まさかあんな罠があるとは……。しかし、なぜいきなり中身が変わった……? あの中身はどう考えてもおかしい)  考えに耽る内に、少しずつではあるが舌の辛さが治まってきた。怒りのボルテージの急騰も緩やかになった所で、そろそろ次の料理の思案をする。 (いい加減お菓子も飽きてきた……。 次は本格的に料理と呼べる物にしよう……)  実際、2回もお菓子を食べている。甘い物を食べ過ぎると身体に悪い。次はどんな家庭でも1度は口にした事がある王道のそば料理を推した。 「焼きそばが……いいですよ……。 家庭料理から即席、外食と幅が広い調理法があって……味も千差万別……。 そばの炒め方……、ソースの種類……、副菜の有無……、その種類……、それらの掛け合わせでできるこの料理の味はまさに未知数……。 食べて見ないとわからない……ワクワク感と美味かった時の達成感は……なんとも言えません……」  すると、キッチンのコンロが開くように動き、その下から炒められた焼きそばを乗せたフライパンが出現した。炒めたての焼きそば独特の香ばしい湯気がほんのりと漂う。 (どんな仕掛けなんだ? これ……?こんなキッチンは今まで見た事がない・・・・・・)  不思議に思いつつ、焼きそばに箸をつける。だが、口にする寸前に箸を止めた。 (ちょっと待て……。 さっきみたいにこれにも何か……)  さっきのカラシュークリームの事がすっかりトラウマになってしまい、中々口にできずにいた。本来はあんなに甘いはずの物がそっくりそのまま激辛の物にすり替えられていたのだ。トラウマにならない方が不思議だろう。 (激辛のソース……。なんて使っていないだろうな……?)  カラシュークリームの激辛を経験した直後だ。そう思うのも無理はない。 (だが……)  恐怖に苛まれながらも、このままでは埒が明かないと思い、ゆっくりと焼きそばを口に運んだ。激辛恐怖と脳内で格闘しながらゆっくりと味わう。 (………。美味い!)  どうやら、焼きそばに妙な仕掛けはないようだ。食べ終わるとライトが2つ点灯した。そして、ライトの色は黄色から青へと変化した。  現在青ライト5つ点灯。 (焼きそばを食べたら、ライトが2つ点いて色も黄色から青に変わった……。やはりライフポイント……、か……。この焼きそばによってライフが2つ回復した……、という事か……)  確かに、料理によって旨さは違う。そして、さっきのどら焼きと緑茶よりも、この焼きそばの旨さの方が満足度がより高い。それすら見抜かれているのか……。そう思うと不気味さがさらに増した。
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