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「あ…あけちゃんは悪くないよ!」
ようやく声が出た私は、その勢いのままに言葉を続けていった。
「ごめんね、あけちゃん。
私…私、彼にあけちゃんを取られたような気がして…
なんて言うか……
彼が出来たことも、結婚のことも嬉しいはずなのに
なんだか悲しくて、寂しくて…」
話しながら、涙が出てきて、雪が舞う夜空を私は見上げた。時折り「うん、うん」と言いながら鼻をすする、あけちゃんの声が聴こえ、
「ごめんね…あけちゃん。ごめんね…
素直に…ちゃんと言えなくて…」
私は、スーッと大きく息を吸い込んだ。
雪でいつもより冷たくなった空気が身体の中に入り込んできて身震いする。
「あけちゃん、結婚おめでとう!」
息を一気に吐くように勢いよく言う私に
「ゆうちゃん…
ありがとう!ありがとうね!」
涙声のあけちゃんの声が耳に響いて、泣きながら私は腰が抜けたようにその場にしゃがみ込んだ。
カズキチが「どうしたの?」と不思議そうに寄ってきて、涙でぐちゃぐちゃな私の頬をペロペロ舐めた。
明日、マキにも報告しないとね。
私はカズキチをギュッと抱きしめた。
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