トップセールス

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「…それじゃあ営業部の皆さんは林さんから色んなことを学んで、今月こそはS支社が全国一位になれるように努めてください」  全体の朝礼が終わるとそのまま部署ごとのミーティングに移行する。営業部で1番下っ端の僕はいち早く会議室を確保して暖房を入れ、少しでも部屋を温めておかなくてはならない。 「…という感じで今月は新商品出てるから、これを中心に新規もどんどん取っていって欲しい。さっき支社長も言われてたように、今月こそは他支社を追い越していこう」 はいっ!と、課長の激励に対して皆と一緒にそこそこ大きな声で返事をする僕はもうすっかり「社会人」だ。 「それで、林さんはとりあえず松坂と一緒に回ってもらっていいかな?」 「えっ!」 「どうした松坂?不満か?」 「あ、いえ!そんなことはありません」 「林さん、あれが1年目の松坂ね。まだ新人とはいえ、もう少し売れるようになってもらわないと困るっていう感じなのよね。やり方は問わないから、とにかく数字が上がるように厳しく見てやってほしい」 「はい。承知致しました。精一杯やってみますね」 「松坂。お前の車で一緒に回ってもらうから、この後掃除しとけ」 「松坂ぁ、変なモン積んでたのちゃんと降ろしとけよ?」 「先輩!アホなこと言わんといてください!」  かくして僕はトップセールスによるマンツーマン指導を受けるという、貴重すぎる機会を得たのであった。
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