トップセールス

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「松坂君、林です。よろしくね」  ミーティングが終わるとすぐに林さんがやってきた。まだ少ししか見ていないけど、この人がとんでもない数字を叩き出している理由の一端が分かったような気がする。 言動に迷いや躊躇が無くとにかく堂々としているため、圧倒的な安心感があるのだ。さらにピンっと背筋の伸びた佇まいや身だしなみはもちろんのこと、容姿の良さも相まってほとんどの人は彼女に好印象を抱くだろう。そして少しハスキーで心地よい声質は妙な魅力があり、声に関する仕事でも大成しただろうなと生意気ながらに思う。 「よろしくお願いします!」 「今日のスケジュールはどんな感じ?」 「新商品チェックと明日からのアポ電入れようと思ってました。あ!もちろん当日アポ貰えたら販売行くつもりです!」 「ふむふむ。ならパッと新商品見たら、一緒に外回り行こか」 「えっ、アポ取らなくていいんですか?」 「ええよ。あと今日は直帰するからそのつもりでおってね〜」 そう言って林さんはどこかへ消えていった。さすがトップセールスはやることが違う。わざわざアポなんか取らなくても、きっと飛び込みで何とかなるのだ。
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