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数十分後、僕は駐車場で林さんと合流した。
「おじゃましますー。てか君の社用車、軽なんやね?」
「はい、これしか余ってなかったらしく。狭くてすみません」
「全然大丈夫。狭いとこ好きやし」
僕は新商品と林さんを乗せて、会社を飛び出した。さて、トップセールスは一体どこから攻めて行くのだろうか。
「林さんはいつもどういうとこ見て飛び込み先を決めてるんですか?」
「ん?私飛び込み営業なんかほぼしたことないよ?」
思わず急ブレーキを踏みそうになる。この時の僕は林さんの意図が全く読めず、疑念を通り越してある種の恐怖のようなものさえ感じていた。
「えっと、じゃあ僕はこれからどこに向かえばいいんですか?」
「明るい未来向いて走ったらええんとちゃう?」
「バカにせんといてください」
「あっ、その感じ!薄々思ってたけど君も関西人?」
「そうです…けど」
「え〜!どこなん?私の知ってるとこかなぁ」
え、この人あの林さんだよね?
トップセールスだよね?
もしかして車乗ったら性格変わるタイプ?…助手席で?
ひとまず手近なコンビニに駐車した僕は林さんに今日の予定を尋ねた。すると彼女の口から信じられない答えが返ってきたのだ。
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