トップセールス

6/7
前へ
/17ページ
次へ
「とりあえず…飲み行こか?」 「はぁ?」  もちろん僕にはその真意が分からず、先ほど疑念を通り越したばかりの恐怖はすっかりと消え去り、今ではちょっとイライラしていた。 なんでこんな訳わからん人がトップやねん。どうやってあの売上立てたんや。 色仕掛けか?枕営業マンってことなんか? 「あの…林さん?ちょっと何言ってるか分からないです」 「お、サンド?ネタめっちゃおもろいよね」 「別にサンドイッチマンの真似したわけやないです」 「サンド”イッチ”マンやなくて、サンド”ウィッチ”マンな。営業マンなら相手の名前は間違えたらあかんで」 「マンマンうるさいです。というか漫才みたいにするのやめてもらっていいですか?僕ら漫才師じゃなくて営業マンなんで」 「…君の方がマンマン言うてないか?」 だめだ。気づいたらこの人のペースに乗せられている。 冷静になろう。まず林さんは僕が思ったような人ではなかった。大丈夫、営業でも相手が第一印象で抱いたイメージと全然違う顔を見せてくることはよくあるじゃないか。 確かなことはこの人がめちゃくちゃ変な人で、僕を道連れに堂々と仕事をサボろうとしているということだ。 …マジでなんでこんな人がトップなん?
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加