【12】シュールたんと婚礼衣装

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【12】シュールたんと婚礼衣装

――――シュールたんの実家でお世話になる傍ら、モジュールくんやミュールちゃんと遊んでいた時。 シュールたんがお義母さんと一緒に何やら衣を広げていた。 「シュールたん、それって……」 何やら凄そうな衣装……? 「雪月さま、これはこちらに伝わる花嫁衣装なのです」 「いつかシュールにもって思っていたのだけど……」 「いいのです、お母さま。シュールな都で立派な花嫁衣装を着せてもらったのですよ」 そう言えば……そうだよな。この世界は地域によって花嫁衣装が違う。だからシュールたんにもシュールたんの故郷に伝わる花嫁衣装があったはずなのだ。それなのにシュールたんに確認もせずに、都の花嫁衣装を着せてしまったのだ。 シュールたんは実家に花嫁衣装の写真を送ったら、喜んでもらえたと言っていたが……もしかしたら。 お義母さんが出してくれた花嫁衣装を見つめながらさりさりと触るシュールたん。 そんなシュールたんを見たら、どうにかしてあげたいと思っちゃうじゃないか……っ! 「シュールたん……!」 「雪月さま……?」 「記念撮影をしよう!!」 「記念……撮影?」 「そうだよ!結婚式挙げた時に、アルバム作るって言うのあるじゃん」 こちらの世界では、結婚式を挙げるほかにも、婚礼衣装を身に付け記念写真を撮り、記念にアルバムにして残すと言う習慣があるのだ。 思えばまだ、アルバムを作っていなかったな……? 「だから今回は、シュールたんの地域の婚礼衣装を着て、一緒に記念アルバムを作ろう」 「それは……っ」 シュールたんの頬が桃色に色づく。あぁ、シュールたん、かっわよおおおぉぉっ! 「是非……っ」 そして頷くシュールたんに、俺もお義母さんも、モジュールくんたちも笑顔になった。 こうして、シュールたんは、お義母さんや兄嫁さん、集まった近所のお母ちゃんたちに目一杯おめかししてもらい、婚礼衣装を着せてもらった。 俺はお義父さんやお義兄さんに勧められて花婿の装束を。 そして2人で一緒にポーズをとりながら、地元の写真屋さんに記念写真をたんまり撮ってもらったのだ。 「雪月さま」 「うん、どうしたの?シュールたん」 「その……お母さまからのおさがりの婚礼衣装……着るのは……シュールの夢だったのです」 シュールたん……! 「だから……夢を叶えてくださって、ありがとう、ございます」 「シュール……たぁぁんっ!シュールたんの夢なら、俺は何だって叶えるううぅっ!」 そしてシュールたんをお姫さま抱っこおおぉっ!もれなく写真におさめてもらったのだが。 「こ、これは別に夢では……っ」 照れながらも頬を赤らめるシュールたんが、マジでかわいかったので、思わず口付けを贈ってしまった。 その後真っ赤になったシュールたんが俺にきゅうっと抱き付いてきて、かわいすぎる~~っ!写真撮影はえんもたけなわ!急いで婚礼衣装を脱ぎ、魅惑の9本おしっぽを披露したのだった。 思わずおしっぽお目見え級のカ~ワ~イ~イ~ッ! なお、俺の9本おしっぽはその後、モジュールくんとミュールゃんに大人気だった。 ――――シュールたんの帰省と、新婚旅行を終えて、暫くして。 完成したアルバムがシュールたんの実家から届き、シュールたんと2人で暫く魅入ってしまったのは、言うまでもない。 なお、あの時のキスショットも納められており、別途もらった写真も合わせてシュールたんは悶えていてかわいかった。その後、シュールたんがこそっとら写真たてに入れるのを見て、おしっぽ大満開で悶えたら、見事にシュールたんに見付かってしまった。 「んもぅ、雪月さま。覗き見したのですから、おしっぽもふもふですよ」 「はぁ~い」 それはもはやご褒美なのだが……俺のおしっぽをもふもふなでなでするシュールたんはとってもかわいかったので、よしとしよう。 【めでたしめでたし】
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