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9.
「あ、あ……っ!」
ビクッと体が震えたのち、ずるりと触手が孔から抜かれ、四つん這いになっていたコオはベッドに倒れた。触手がコオに触れている間、ワスカは同じ部屋にいる。ティカは行為をやめる術を身につけていない。ワスカが止めなければずっと続けてしまうのだ。行為を見られてしまうことに当初、コオは激しく拒否したが自分で止められる自信があるのかと問われ、半分ワスカに押し切られた。実際、今も二回ほど達したのにまだ触手は伸びてくる。
もう体が持たないとワスカの方を見て首を振ると、ワスカは立ち上がり手にしていたティの葉に口付け何かを唱えた。すると伸びていたティカはするすると細くなりあっという間に消えていく。壁に張り付いていたものも全て。その様子を肩で息をしながら、コオは見ていた。やがて全て消えたとき、ワスカはシーツを持ってきて体を優しく包み、しばらく息を整えてコオはようやく落ち着いてきた。ふと以前、ティカは枯れてしまったのに、今日は消えたのが不思議でコオが聞くと答えが返ってきた。
「本当は今日みたいに消えるのがいいんだ。彼らを戻すだけで、生きているからね。この前は……咄嗟にだったから、死んでしまった」
ティカはもう個体数が少ないと聞いていた。それでもコオを助けるために貴重なティカを引きちぎり捨てたのだ。
胸が熱くなり、コオは視線を右に向けた。するとワスカの日に焼けた逞しい腕が目に入り、体を半分起こし振り向くと目の前にワスカの顔があって、薄い茶色の瞳がジッと見ていた。その時コオの中に甘くどうしようもない衝動が走った。
(ワスカに触れたい)
そのままコオは顔をゆっくりとあげてワスカの唇に自分の唇を重ねた。その柔らかい感触に心が落ち着いていく。これが何の意味を持つのか、コオ自身もわからない。満足そうなコウに対して、ワスカは思いもしなかったことに目を見開いたが、拒否せずそのまま触れていた。
少しの間、重なった唇が離れると、二人は見つめ合う形になりどちらからともなくまた唇を重ねた。今度はゆっくりと、お互いの唇を感じるように。長く長く。
「ん……」
ワスカの背中にコオの手が伸びて体に抱きつくと、ワスカもまたコオを抱きしめる。そして長く甘い口付けを何度も重ねた。
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