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今日もまた、優等生の仮面を被り、周りの人間、両親と、義理の弟の前で無害だと言わんばかりの微笑みを返す。
俺が16歳の頃、
両親が再婚して俺に6歳下の義弟が出来た。
義弟 彰(あきら)と、はじめて顔を合わせた日を今でも鮮明に覚えている。
初めて見た時、小学生相手に思ったのは、なんてきれいな子なんだと思った。
少しつり目で、くっきりとした二重瞼、瞳がキラキラとしていて印象的。顔の作りも、とても整っていてキレイだった。
少年らしい華奢な体付きだが、サッカーをしていたせいで健康的に日焼けしていた。
「これから宜しくね、彰くん」
緊張していた彰が可愛いくて自然と微笑み挨拶をした。
中学の後半には彰の身長は、俺よりも大きくなった。顔付きも身体も男らしく変わった。
風呂上がりにバスタオルを腰に巻き、歩く姿にドキドキした。
時折、色香を漂わせる表情に
目が離せなかった。
彰が高校生になり
彰に告白をされた―――…
義理とはいえ弟だ。
そして、彰の父親には恩がある。
その恩を仇で返せない。
「ごめん、今まで通り兄弟でいたいんだ…」
俺はそう断った。
再婚前、母子家庭で生活はギリギリだった。
男の俺を性的に見てた近所の親父たちに俺は中2で身体を売り、近所の家の手伝いで貰った金だと言って母に渡していた。
そして、高校生になり彰の父親と母が再婚して引っ越し、売りは辞められた。
ずっとしていた行為で、身体が疼いて、誘われたら誰とでも学校の空き教室でしていた。
俺は汚れている――――…。
だから彰の好意は受け入れてはいけない理由の1つだった。
両親、彰、周りの人たちに期待され、高校、大学、就職先だって一流の会社、エリート街道を歩んだ。
両親と彰に、いつも自慢の義兄だと言われている。
大好きな家族で
大好きな義弟――――…
俺が彰の義兄でいる限り傍にいられる。
彰は俺の事が好きだから離れていかない。そう思っていた。
それなのに、俺が1人暮らしをしている間に彰に恋人ができた。
彰の幼馴染みの桐斗が、彰の恋人だと紹介された。
お前は俺を好きだと言った癖にと、裏切られたような気分になった。
それでも感情を表に現せる事なく良かったなと笑顔を張り付ける。
ある日、実家に帰った時の事。
彰の部屋から喘ぎ声が聞こえた。
恐る恐るドアを少し開けてみた。
桐斗に組敷かれ快感で、顔を紅く染め、桐斗の腰に絡めた足。
桐斗の背中に腕を回す仕草。
そして何よりも白濁を吐き出しイク姿が綺麗だった。
その姿を目に焼き付け夜に自慰に耽った。
また次の週に自宅に行くと
今度は彰が桐斗を抱いていた。
彰は腰を振り、顔は獰猛な獣のよう、それでいて美しかった。
だから―――…
桐斗を誘惑した。
桐斗の声は彰に似ていたから。
だから―――…
桐斗を通じて彰を感じられた。
桐斗は彰の事が好きなくせに、俺を抱く。
「桐斗、俺の名前を呼んで、好きだと言って」
「…んっ…なつき好きだ…ッ」
「はぁ、…ああ、っ…もっと言って、ああっあっあっ、っ…んっ…ッ」
俺の名前を呼ばせ、好きだと言わせて、彰に抱かれてるような錯覚に陥る。
この唇は彰に口付けたんだろう?
舌を絡ませたんだろう?
桐斗のペニスに手をやると固く勃起している。
ソレを口に含む
コレは
彰の中に入り
彰を喘がせたんだろう?
そして、ペニスが俺の中に挿ってくる。
「なつきっ 好きだ…、なつきっ」
その言葉を言いながら快楽に顔を歪ませ、腰を夢中で振り続ける。
「ああっ、んんっ…俺も、好きだっ」
桐斗を通して彰を追う。
歪んでいようとも、
俺は彰に抱かれる訳にはいかない。
隠さないといけない、この感情。
俺の歪んだ欲 愛情―――…
いつか彰に抱かれる日があるのだろうか。
明日、
俺は好きでもない女と結婚するというのに――――…
―― 前日~前夜~ END ―――
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