雪の妖精物語

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 そしてコンクール当日。  会場には、寝たきりのリーダーの祖母ちゃんが、どうしても見たいと言うので、布団にくるまれて雪だるまみたいな格好で運び込まれてきた。  後ろでラインダンスを踊る不良仲間たちの家族も皆応援に駆け付けてきた。  奴らのショートコントはなかなかの出来だった。  ボスの母ちゃんが作ってくれたというタコ人形もなかなかの出来映えだった。  ラインダンスを踊っていた仲間たち全員が頭にタコ人形を被っての決めポーズにも大喝采!  ボスの祖母ちゃんは上体を起こし、笑いを浮かべ、涙も浮かべ、しきりに頷いていた。  舞台からそれを見たボスは「俺、感激した!」と泣いた。  コンクールは惜しくも2位だった。  コンクールの翌日。奴らは教室の隅に集まって反省会をしていた。 「今度ウチの祖母ちゃんにも見せてやりたいなあ!」 「俺も!俺のじいちゃんにも!」  その時、黒板に文字が現れた。 ―お笑いの極意、それは相手を笑わせたい、喜ばせたいという気持ちを持つこと。  お前らはもう、それを知っている。その気持ちを持って進んでいけば大丈夫!  コンクール1位をめざして頑張ってくれ!― 「よし!町中の年寄りを笑わそうやないか!」 「そうじゃ!頑張って皆に笑ってもらって、今度こそ1位になろうや!」
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