身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ

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……ん? なんだ? この臭いは。 突然の異臭が車内に広がる。明らかにおかしい。これは……、 誰か、屁をこきやがった。 誰だ? 僕じゃないから、他の三人の中の誰かなんだけど。 隣の沼田の様子を横目で見ても、気付いていないように見える。 前の席では二人だけの会話が続いている。 「私、ゲレンデに着いたら、かき氷食べたいなぁ」 「まさか、シロップ持参か?」 「いやだ。いくら私でもゲレンデの雪なんか食べないよ。後ろのあいつならわからないけど」 なんて、呑気な会話をしている。 と、いうことは、前の二人は、この異臭には気付いていない? いやいや、これは凄い臭いだぞ。 うわっ、やばい。 鼻から息を吸ったらまずい。口呼吸で耐えないと。 他の人はまだ、気付かないの? 前の席の二人の会話は続く。 「知ってるか?かき氷のシロップってみんな同じ味なんだって、ん?ん?ん?」 「うそ、そうなの?私、イチゴ味が一番美味しいと思って、ん?何これ?」 あ、前の席の二人も気付いたみたいだ。
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