身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ

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いやぁ、でも、助かった。 あの臭いは耐えられないよ。 一時はどうなることかと思ったけど……。 あ、沼田の狙いはこれか。 タバコを吸いたかったわけではなくて、窓を開けたかったのか。 と、いうことは、臭いには気付いていたな。 阿久津もそれをわかって、普段なら許さない喫煙も許したんだ。 誰も一言も発しない状態で時間だけが過ぎていく。 車内の冷え込みのせいで、僕はトイレに行きたくなってきてしまった。 「ちょっと、サービスエリアによるぞ」 みんなの答えを聞くより早く、阿久津がハンドルをきる。
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