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その後、無事受験に合格して、塾を辞め、彼とは疎遠になった。
恋というものを自覚していなかった私は彼に告白することはなかったし、地方の大学に進学した彼も、私に何かを言うことはなかった。
結局、彼と私は、塾の帰り道を一緒に過ごすだけの間柄で終わった。
今でも雪が降ると思い出す。
あれ以来、私に同じ言葉をかけてくれた人は、誰一人いない。
私も、あの時と同じ気持ちを味わったことはない。
もう夜の十時を過ぎても追い出されることはないのに、私はファミレスではなくコンビニに寄って、肉まんを一つ買った。
外に出て、冷たい空気を肌で感じながら、包みを剥がす。
一口、齧りつく。美味しい。味覚は美味しいと判断している。
けれど、あの味をもう一度味わうことは二度とないのだ。
肌に落ちた雪は体温で溶かされ、そのまま雫となって落ちていった。
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