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ワタルが上手い事まとめて俺等は船の甲板の上に乗った。
見送り連中が桟橋の端まで来て手を振る。
「ウチの子たちを助けてくれてありがとー!」
「貴方達のしてくれた事は忘れないよー!」
「無事に帰って来るのを待っているからねー!」
連中が口々に別れの言葉を掛ける。
その言葉に応えるようにカスミとミヤビ、リョウが手を大きく振り返した。
今生の別れじゃねーんだ。
又会える。
「出航!面舵いーっぱい!」
近くの街まで運んでくれる船頭の声が響き渡る。
船は桟橋を離れ徐々に大海原へと漕ぎ出して行った。
城下町が小さくなりやがて見えなくなる。
甲板の上でリョウとミヤビがキャッキャッと、はしゃぎながら鬼ごっこを始める。
ワタルは船室に読書しに向かい俺とカスミは身を寄せ合って海を眺めていた。
「大勢の船旅って良いものよね」
俺はカスミの肩を抱いて言った。
「まだまだ旅は始まったばかりだ。これからも頼むぜ奥さんよ」
俺等を乗せた船は白い波飛沫を上げ航海を続けていった。
その頃の城下町ではいつもの活気を取り戻していた。
人々が賑やかに通り過ぎる教会の近くには魔法護衛陣とアイテムが設置されている。
仲間達を囲む絆と信頼が、教会や日曜学校を守る最後の砦として息づいていた。
完
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