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男は少しびっくりして、はにかむように
「ええ、そこのコンビニに行った帰りに桜を見るのが息抜きなんですよ」
「僕も会社の帰りにこの桜並木を通るのが息抜きですよ」と拓海は嘘をついた。
桜の花びらがゆらゆら落ちてきて男の白いうなじについた。拓海はさりげなく花びらを取ってあげた。男はビクとして白い顔がほんのりピンク色になったような気がした。
「びっくりさせてごめんなさい!桜の花びらがついていたので」本当はうなじが色っぽかったのでさわりたい衝動にかられたのだ。
「もし宜しかったら、ここで出会うのも何かのご縁なので、そこの喫茶店でお茶でも飲みませか?」
拓海は思いきって誘った。
男も承知してふたりでお茶をすることになった。喫茶店は、アンティークな感じのいい店だ静かな曲も流れてる、落ち着くいい店だ。ふたりともコーヒーを頼んだ。
「すみません!付き合わせちゃって、まだ自己紹介していませんでしたね。僕は三宅拓海といいます」
「あ、初めまして。私は河内静家と申します」
「河内さんは着物が似合いますね!何か着物の仕事でもしているんですか?」
「私は日本舞踊をしています」
「へー凄い、すてきですね!」
「そんなに凄くないですよ!踊りしか知らない世間知らずですよ。三宅さんは?」
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