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クリオのこれから
「さて、クリオのこれからについてだ。」
殺風景な白い部屋で、私は尋問のように声を掛けられる。
「これから…とは?」
ヘリオスがばさばさと資料を広げた。
なぜ、ここはアナログなのだろう。
「アンドロイドのクリオなら知ってるよな?
アンドロイド人権法のこと。」
「それは、教育施設でならいました。」
アンドロイドは製造されてから数か月、教育施設へと入る。
そこで、人間との生活の方法を学ぶのだ。
「そう。
だから、俺たちはクリオを廃棄することはできない。
まあ、そんなものなくても、捨てはしないが。」
小さく息をついて、ヘリオスは呟いた。
「しかしだな。」
ヘリオスは複数の紙を私に見せ、端のほうを指さした。
『ウーラノスはあずかれません』
続けざまに3枚とも書いてある。
「ウーラノスはもう、生産中止となっている。あんなことになったからな。
あの時、操られていたとしても、いつどうなるのかわからないアンドロイドをわざわざ買う人はいないに等しい。」
ヘリオスはバサバサと紙をめくり、
指を指した。
「だから、俺はこれを提案する。」
「提案?」
ヘリオスが指さした先にいたのは、1人の少年だった。
オレンジの髪を一括りにした、爽やかな少年だ。
「彼は今、アンドロイドをさがしている。」
言いたいことが分かった。
「そこにいけと言いたいのですか。」
「えっと、行く場所がないからな。
ここに行くのが一番安泰というか……」
ヘリオスの目が泳ぐ。
「俺も追い出すようになってしまって悪いとは思ってる。ただ、クリオが嫌ならば、他の場所を探すことも出来るが?」
「その人の詳細を教えてくださいませんか。」
ヘリオスはふうっと息を吐く。
安心した様子だ。
そして、少年について語り出した。
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