2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「彼の名前はネーレウス。
一人暮らしの15歳だ。」
一人暮らしの15歳?
というと、中学3年生?
「一人暮らしなのですか…?」
「色々、あったんだ。」
ヘリオスは無表情を貫いた。
それでも、唇はかすかに震えている。
「そう…ですか。」
クリオは一息つく。
何があったのか。
本音を言えば興味などない。
嘘なら嘘でいい。
取り繕いたければ取り繕えばいい。
裏のことなんてどうでもよかった。
「どうだろうか。彼の元へ行ってくれるか?」
「行きます。」
自分でも驚くほどに即答だった。
どうせ行く場所なんて無い身。
どこに行ったって構わない。
そこで、殺されようと構わない。
私が存在している意味なんてものは無い。
いつ消えたって構わない。
「そうか。」
ヘリオスは小さく頷いた。
「実はネーレウスくんは俺も知り合いでな。
仲良くしているんだ。
前々から、一人暮らしで心配でな。
前からアンドロイドが欲しいとは言われていたんだが、俺がプレゼントできるようなものでも、ネーレウスくんが自腹で買える金額でもなかったからなぁ。」
長々と聞いてもいないエピソードを語る。
そして、少しバツが悪そうに頭をかいた。
「たまに様子を見に行くから、まあ、頑張れよ。
色々、書類を取ってくるな。」
私の髪をわしゃわしゃっと撫でる。
傷んだ人工毛が、ふわっとなびいた。
そして、ヘリオスは足取り軽く部屋を出ていこうとする。
クリオは背を向けたヘリオスに独り言のように声をかけた。
「今の時代、セクハラですよ?」
ヘリオスの足は少し速まった。
最初のコメントを投稿しよう!