11人が本棚に入れています
本棚に追加
「なにブツブツ言ってるの? 留守番なんて、いつものことじゃない」
ドーナツのカスだけになったお皿を持って、マムが立ち上がった。
「だって、今回はアマンダおばさんが来ないんだよ。そんなのありかよ」
アマンダおばさんなら、ぼくの秘密を承知してるから、なんの心配もいらないのに。
「ベビーシッター協会も忙しいのよ。そのかわり、ヨーコに頼んだんだから、いいじゃない」
そう言って、マムはキッチンに行ってしまった。
「やだ! ヨーコはベビーシッター協会の人じゃないじゃないか!」
マムの返事はない。そのかわり、ダッドが言った。
「ヨーコだっていいじゃないか。ホームパーティーでおまえにも挨拶してただろ。優しそうなジャパニーズじゃないか」
そうだよ、だから嫌なんだ。優しそうだし、おまけにキュートなお姉さんなんだ。
「マ~ム! ヨーコに、絶対、言っちゃダメだからね!」
ぼくは、キッチンのマムに届くような大声で、もう一度、念を押した。
最初のコメントを投稿しよう!