2、ポットラックパーティー~一品持ち寄りの会~

1/4
前へ
/30ページ
次へ

2、ポットラックパーティー~一品持ち寄りの会~

 ぼくが最初にヨーコに会ったのは、ハロウィーンが一週間後に迫った日曜日。  大学の学生さんや、助手の人たちを招いて、ぼくの家でパーティーをした。みんなで一皿ずつ持ち寄って集まる、ポットラックパーティーだ。  ローストビーフや、グレービーソース、ひき肉たっぷりのタコスや、パイナップル入りのフライドライス。庭にひろげたテーブルは、ごちそうでいっぱいになった。  ぼくは、スチューデントのメアリーが持ってきたパンプキンパイに目をつけた。そのとき、ダッドの助手のシュウがやってきたんだ。 「ハーイ、テディ―。元気だった?」 「ハーイ、シュウ。まあまあ元気だったよ」  シュウはダッドの助手だけど、ぼくにとっては兄貴みたいな存在。ぼくがダッドの研究室に遊びに行くと、カフェテリアでアイスクリームをごちそうしてくれるんだ。時々、実験用のねずみも見せてくれる。  シュウは去年の夏からここにいるから、もう、一年以上の付き合いだ。 「テディ―、紹介するよ。ぼくのいとこ」 「え?」  シュウのとなりに、キュートなお姉さんが立っていた。淡いオレンジのルージュをのせた唇が、ゆっくりと動く。 「マイ ネーム イズ ヨーコ」  ちょっと低めのハスキーボイスで、ヨーコはあやしげな英語を発した。 「二か月前に、日本から来たばかりなんだ」  シュウはそれだけ言って、となりのメアリーと研究の話をし始めた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加