3、ノット メイク センス~さっぱりわかんない~

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3、ノット メイク センス~さっぱりわかんない~

 ぼくは、2週間前のポットラックパーティーのことを思い出し、一抹の期待と一抹の不安を抱いた。  期待は、もしも、マムが裏切ってぼくの秘密をもらしたとしても、英語が苦手なヨーコには、理解できないかもしれないってこと。ぼくの秘密を知っているのは、両親と、ベビーシッターのアマンダおばさんと、親友のリュークだけ。これ以上、もう絶対、誰にも知られたくない。マムもダッドもぼくの秘密については、たいしたことない、そのうち大丈夫になるって言ってるけどね。そのうちって、いつなんだ? もう、8歳なのにさ。  不安は、あんなに英語のできないヨーコと、ふたりっきりでウィークエンドを過ごすことが可能なのかってこと。 「やだ! 絶対やだ! ヨーコがベビーシッターなんて無理だよ。全然、英語、しゃべれないじゃないか。『イエス』と『サンキュー』と『パ―ドン』だけで、このウィークエンドをどう乗り切れっていうの?」 「あら、もっとしゃべれたわよ。『わたしは、英語がしゃべれません』なんて、スラスラしゃべってたわ」  いつのまにか、化粧を濃くしたマムがいた。ダッドもコーヒーを飲み終えて、上着をはおりながら言った。 「『パ―ドン』だって、立派な英語じゃないか。『わからなくて、ごめんなさい』って意味なんだから、おまえが、もう一度、わかるようにしゃべればいいんだ」  大人はみんな勝手だよ。自分の仕事のことで精いっぱいで、ぼくがこの土曜と日曜に、どれだけ同じセリフを繰り返すことになって、どれだけゆっくり英語をしゃべらされることになって、どれだけ秘密がばれないように気を遣うはめになるかなんて、考えてもくれないんだ。
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