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「ハーイ、テディ―、ハウ ヴ ユ ビーン?」
あれ? なんか英語、上達したんじゃない?
「ヨーコ、英語しゃべれるの? それならそうと、早く言ってよ」
「パ―ドン?」
なんだ、上手になったのは、最初の挨拶だけか。
スーパーマーケットの袋から、パックに入ったサーモンの切り身がのぞいてる。げっ、たしかジャパニーズって魚を生で食べるんだっけ。やだな。明日の昼まで、ヨーコの料理を食べなくちゃいけないんだ。
「ノー、ノー、ドン ドゥー ザット」
こんなところで、靴なんか脱ぐなよ。ぼくの言うことなんか、全然聞いてない。ヨーコは、白いスニーカーを入り口でそろえて、ドアを閉めた。
小首をかしげ、やわらかな笑顔をぼくに向けたかと思うと、ヨーコはササっとキッチンへ。すばやい。あの、すばやさ、映画でみたことがある。
音を立てずに歩くやつ。忍者だ。でも、忍者だったら、もっと英語がしゃべるはずだ。映画の忍者は、みんな英語がペラペラだもん。
ダイニングテーブルの上には、まだシリアルの入ったボールがあった。ミルクと融合して、どろどろになっている。もう、食べられないな。
ぼくは、ポケットの中のゴム製の蜘蛛を取り出して、シリアルの上に置いた。
「ヨーコ」
ぼくがヨーコを呼ぶと、ヨーコがやってくる。
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