3、ノット メイク センス~さっぱりわかんない~

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「ハーイ、テディ―、ハウ ヴ ユ ビーン?」  あれ? なんか英語、上達したんじゃない? 「ヨーコ、英語しゃべれるの? それならそうと、早く言ってよ」 「パ―ドン?」  なんだ、上手になったのは、最初の挨拶だけか。  スーパーマーケットの袋から、パックに入ったサーモンの切り身がのぞいてる。げっ、たしかジャパニーズって魚を生で食べるんだっけ。やだな。明日の昼まで、ヨーコの料理を食べなくちゃいけないんだ。 「ノー、ノー、ドン ドゥー ザット」  こんなところで、靴なんか脱ぐなよ。ぼくの言うことなんか、全然聞いてない。ヨーコは、白いスニーカーを入り口でそろえて、ドアを閉めた。  小首をかしげ、やわらかな笑顔をぼくに向けたかと思うと、ヨーコはササっとキッチンへ。すばやい。あの、すばやさ、映画でみたことがある。  音を立てずに歩くやつ。忍者だ。でも、忍者だったら、もっと英語がしゃべるはずだ。映画の忍者は、みんな英語がペラペラだもん。  ダイニングテーブルの上には、まだシリアルの入ったボールがあった。ミルクと融合して、どろどろになっている。もう、食べられないな。  ぼくは、ポケットの中のゴム製の蜘蛛を取り出して、シリアルの上に置いた。 「ヨーコ」  ぼくがヨーコを呼ぶと、ヨーコがやってくる。
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