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 椿が学園を歩いていると、女子生徒たちがざわめく。 「椿理事長よ、今日も素敵ね」 「この学園の自慢の理事長よね」 「理事長秘書の梅柄様も素敵」  椿と梅柄が校内を歩く姿を見て、一人の女子生徒は思った。  秘密だよ、絶対に  悪い夢は早く忘れた方がいいだろう  私達のことも、夢なのだから……    夢現で見聞きしていた白薔薇騎士団は、あの二人のシルエットとよく似ている。  あの二人がいるこの学園なら。  これからは楽しい学園生活が送れるに違いない。  女子生徒はそう思った。  そして、もう一度歩いている椿と梅柄を見てから、友の元へ軽やかに走って行った。  私立星霜女子学園のバラ園は、今日も白バラが美しく咲き誇り、柔らかく甘い芳香が辺りにただよっている。  秘密だよ  絶対に秘密だよ  私立星霜女子学園には  白薔薇騎士団がいて  救いを求める生徒を  必ず助けに来てくれる  そう言う言い伝えがあるのだと言う。 〈了〉
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