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5
目を覚ますとそこは見たことがない部屋だった。
冷たい目で、自分を覗き込んでいる男を見て、少女は悲鳴をあげた。
「い、いやっ! なぜ? ここ、どこ?」
ベッドから起き上がり逃げようとしたが、起き上がった途端に頭がグラグラしてベッドに倒れ込んだ。
「薬が聞いているからな。まだ動かない方がいい」
冷たい男の声。
「な、なぜ? なぜ私を?」
少女の問いに男はうっすらと微笑を浮かべた。
「恋は罪だ」
男の言っていることが分からず、少女は息を飲んだ。
「愛は真。君は僕に恋をするのではなく、愛するんだよ」
ニコリともせず、凍りついたような冷たい表情。
少女を見ているようで見ていない。
「生涯、僕だけを愛する。他の何にも見ずに。これこそ、無償の愛。僕に対する真の愛だ」
「だ、だから閉じ込めたの?」
「君のことは秘密にするよ、絶対に。僕のことが好きと言ったのは君の方からなのに、僕から逃げるから。ここなら僕から逃げられない。1日中僕を想って過ごせばいい」
「あなたは、狂ってるわ! 私を出して!」
男は少女の首に手をかけた。
「僕から逃げると言うのか! 僕を愛しているのではなかったのか? おまえも嘘つき女なのか!」
突然激昂した男の手から逃れようと、少女は藻掻いた。
爪が男の手の甲を傷つけた。
男は少女の頬を打った。
少女の体が後ろに飛んでベッドに倒れ込んだ。
男は少女の体を抱きかかえる。
「大丈夫か? 君が僕を怒らせるから。静かに僕の言う事だけをきいていたら僕は君に優しくする」
少女は男の手から逃れようと、腕をがむしゃらに振り回した。
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