1.偶然か必然か

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? 何でここにいるの?」 「へっ!?」  今朝も会った鳴海くんに違いないのだが。  何ではこっちのセリフ! 何で名前呼び?? 「……えと。今日から、ここで働くことになって」 「え! そうなんですか!」  目を丸くした彼の瞳には、やはりグレーのカラーコンタクトが入っている。  一旦レジの引いた祥子さんが、私たちを見て「あれ」と声をあげた。 「仁くん、沙耶ちゃんと知り合い?」 「知り合いというか。まぁ……」 「へぇ~、新入りのお姉さん、沙耶ちゃんっていうんだ?」  鳴海くんの友達らしき男子が、二枚で丸めた模造紙を二本持って近づいてくる。 「なんだよ、仁。知り合いなら紹介しろよー?」 「なにばか言ってんだ」  鳴海くんがムスッと顔をしかめ、狭い通路をレジへと進む。すると、なにかに足がつまづいたのか、派手にすっころんだ。 「いってぇ……っ」 「だ、大丈夫?」  慌てて駆け寄ると鳴海くんは恥ずかしそうに俯いた。 「あはは、仁ってば相変わらずドジだなー」 「うるさい」  彼はなにごともなかったかのように立ち上がり、友達につづいて商品をレジカウンターの上に置いた。それぞれが支払いを済ませて、階段を駆け上がっていく。
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