2.私がシングルマザーになったのは

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 母の強い瞳を見つめ、私は深く頷いた。  それから通っていた大学を中途で辞め、私の生活圏は家と総合病院に入った産婦人科、時々役所や近所のコンビニになった。  出来るだけ安静にして過ごし、勿論バイトも出来なかったから、退屈と言えばそうだったのだけど。日に日に大きくなるお腹を見つめ、我が子への愛情も膨らませた。  早く出てきて欲しい。早く会いたい。名前、なんて付けようか?  子供のことを考えていたら、もう次の恋愛なんて出来なくて良いと思った。子供が私の唯一の味方で、宝物。この子を守るだけで一生を終えても悔いはない。  * 「……爽やかで明るく、逞しく育つようにって。そんな意味を込めて、颯太って名付けたんです」  私は仕事の休憩時間、先輩の祥子さんにスマートフォンの待ち受けを見せた。 「今、四つなので中々に活発な時期だけど。優しい子に育ってます」 「颯太くんかぁ」  待ち受けの写真をぼうっと見つめ、祥子さんが微笑んだ。 「可愛いね。目元なんか、沙耶ちゃんによく似てる」
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