雪の晴れ間に君が来た

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 冬の夜。旦那(だんな)は、エアコンでリビングルームを、ガンガンに暖める。あたしは、問答無用でリビングのエアコンを切る。 「おいー、寒いし。(りん)さんは暑いかも知れないけれど、僕は寒いんだって。寒いと肩がこるんだよ。肩がこったら頭が痛くなるし」  旦那がムッとした顔をあたしに向ける。 「あたしは、エアコンをつけると暑くて汗が出て、気分が悪くなるの」  あたしは暑がりなのだ。仕方ないじゃん。本当に暑いんだから。でも旦那は、本当に寒がりなのだ。体質の違いがあるというのは分かっている。でもあたしは、暑い。だから、エアコンを消す。  おっとそれから。 「あなた、またトイレの電灯を消し忘れてたよ」 「あ、ごめん。でもさあ、細かいことで、僕の罪悪感をえぐるような言い方、何とかしてほしいな」 「え? どう言えばいいの。あたしは、事実を述べただけだし」 「ま、まあそうだけど。ああ言えばこう言うってやつだね……」  旦那は、あたしに聞こえるギリギリの小声でそんなことを言う。  多分、今のあたしは、誰が見ても最悪な不機嫌顔だろう。1人の男と1人の女がリビングルームでムスッとしている。  こんなとき、先に()れるのはいつも旦那だ。それもいつも同じ動作をした後だ。    機嫌(なお)しのルーチンがあるようだ。
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