Venomous Snake Bottomless swamp

情報の抜け道

　甚から峰島の動きを教えて貰った。生活は至って真面目で、不審な点は特に見当たらないように見えた。
　仕事が終われば、部屋に戻り、特に出かけている様子はない。休みの日も部屋にいるか、近くの商店街で買い物をしている程度だ。
　生活全体、贅沢はしていない。地味な方と言っても過言ではないだろう。事務所での食事もコンビニの物で済ますか、時々、近くのファミレスに行く程度。夕食は殆ど帰り道に買い物をして、自炊をしている感じだ。
　ここまで見ると普通の女性だ！
　普通過ぎないか。
　普通過ぎる女性が組の事務仕事？
　思わず笑みが毀れてしまう。
　最初に見た時に覚えた違和感が蘇る。
　私なりに調べてみる価値はありそうね。
　峰島が事務所にいる時は特に気にしない。張り付くのは外出をしている時。外出している時間は少ないけど、そこが気になる所ではある。
　しかも、昼食時に使うファミレスは何時も同じ場所。他にも食事をする場所があるだけに気になる点だ。
　峰島は、昼休みになり、外に出掛ける。今日は事務所で昼食を済まさないようだ。
　峰島が昼食を取るファミレスは分かっている。私は先回りしてそのファミレスで待つ。
　峰島はファミレスに入り、注文を済ませ、トイレに入る。
　ここのファミレスは手狭なため、トイレは男女兼用になっている。
　峰島は食事を坦々と済ませ、店を後にした。
　私はトイレへと入る。
　何の辺輝もない普通の洋式トイレ。
　薄汚れた給水タンク。
　給水タンクの下側を探ってみる。
　更に裏側も探る。
　手に何かが引っ掛かった。
　覗き込む。
　封筒を見つけた。
　封筒の中を探り、何かが書かれた用紙を引っ張り出す。
　何かの予定表だ。
　スマフォで撮影し、用紙を封筒の中に戻す。
　私は何食わぬ顔でトイレを出て、元の席に戻る。
　この情報を取りにくる人がいるよね。情報の一方通行はあり得ない。もう少し居させてもらうよ。
　三十分くらい待っただろうか。
　この場にはそぐわない、いかつい黒ずくめの男が入ってきた。
　見たことがある。
　いや。
　良く知ってますよ。
　見限さん。
　お久しぶりですね。
　見限は一旦席に着き、注文を済ませてから、トイレに入る。
　見限が食事を済ませ、店を出るのを待つ。
　見限が店を出てから、私はトイレに入り、給水タンクの裏側の封筒の中の用紙を取り出し、用紙を撮影する。
　まさか二人が繋がっていたとはね。
　思わぬ収穫だ！
　気になるのは二人の正体だけど、見当はついた。
　ただ、目的が見えてこない。
　正体を掴めても目的が分からない状態では、情報としては確証無きものとなってしまう。
　奴らの目的を探ることだ。