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避けられなかったもの
警察の方は相変わらずだ。殺人事件が起きたと言うのに、動きは活性化していかない。何かの力が働いているのだろうか。警察内部の噂だが、『蠍』が関わった事件には深入りしないと聞いたことがあるが……。
分からない。
二つの組の抗争を止める気があるのか、疑わしくなってくる。
止める気がないなら、私達のやっている事の何処に意義があるのだ。
皆、必死に情報収集に努めている。
私の場合、潜入捜査に近い事をやっているから、かなりの情報を集められているけどね。
それにしても、上の狙いは何?
組の抗争を止めたいのか。
それとも組をまとめて潰したいのか……。
峰島と見限がやり取りした日程表に目を通してみる。
アナログな情報のやり取り。
二人は潜入捜査官?
だとしたら、二人の情報をうかつに組側に流す事は出来ない。
私も警察官だ。
ただ……。
二人が公安だったら……。
二人の正体を考えていたら、二つの日程表の思わぬ点に気が付いた。
両方の組とも今日が幹部会になっている。
まさか、その幹部会に『蠍』が登場して、全員を皆殺し。
怒り狂った組員達は一気に抗争に走る。
流石にそれはないか。
そんな事を考えていたら、消防車と救急車のサイレンの音が鳴り響く。
署内の動きが一気に慌ただしくなる。
同時爆破事件が発生したとのこと。
爆破されたのは二件の料亭。
そこには、龍昇会と雲幻会のメンバーがいたとのこと。
そんなっ!
想像の域を超えた事が起こってしまうなんて。
二つの日程表をもっと速く確認をしていなかったことが悔やまれる。
この後は……。
想像通りの嫌な方向へと突き進んでいくだけだ。
抗争が始まり、二つの組は壊滅状態となった。
抗争と言うよりかは潰し合いとなってしまった感じだ。
警察は一般人が巻き込まれないよう動くだけとなってしまったが、どうしても犠牲はでてしまう。
悲しい事ではあるが……。
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