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抗争を止めると言う使命を果たす事は出来なかった。
ただ、疑問が残る。
抗争を止める気で本気で動いていたかと言う事だ。
情報収集のみで、その情報を活用していたのか。
それに『蠍』と言う暗殺集団が気になる。奴らは何者なのだ。爆破事件も奴らの仕業なのだろうか。
爆破事件についても本腰を入れて捜査をしている感じが、見受けられない。
『蠍』の今回の動きは、二つの組を抗争に持ち込むために動いていたようにも取れる。
何のために。
依頼主は?
分からない。
峰島と見限の目的は何処にあった?
二人は警察関係の人間だとしたら、恐らく無事だろう。極秘の任務に就いていたとなると、内部を調べても簡単には分からない。
それと、甚とは全く連絡が取れなくなった。蓑傘もどうなったのか分からない。
抗争で亡くなってしまった可能性もある。
私は溜息をつきながらも、足は繁華街の裏通りへと動いていた。
建物の壁を背凭れにして、一人静かに何も考えずに立つ。
特に目的なんてない。
ただ、ここに一人で立っていたいだけだ。
「レイラさん。ご無事でしたか。貴方の場合、組員ではないですからね。特に心配はしていませんでしたが」
蓑傘の声に驚きながらも、冷たい笑みで対応する。
「蓑傘さんこそご無事で何より。私は上手く逃げられたので」
「それにしても、嫌な風が本当に吹いてしまいました。組は双方とも壊滅状態。復活は厳しいでしょうね。私もこれから先を考えないといけませんね」
蓑傘の声に一抹の寂しさが感じられる。
「私も情報を買ってくれる所を探さないとですね」
「レイラさんの情報、私が買いましょうか」
蓑傘の思わぬ返答。情報を売っても構わないが、まだ調べたいことがある。
「何を考えているのかしら。蓑傘さんに売れる情報なんて持っていませんよ」
「いや。レイラさんは持っています。今回の件の核心を握っているのでは」
蓑傘がニヤリと笑みを浮かべる。
「そう言う蓑傘さんこそ怪しいですはね。ここは何時ものように情報交換と行きますか」
「では。場所を変えましょうか。安心してください。私一人ですよ。組は解散状態のようなものですから」
そう言って、蓑傘は勝手に歩いて行く。
私は蓑傘に付き合う事にした。
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