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蓑傘さんから連絡が入ると同時に、例のハッカーさんからも連絡が入った。
ハッカーさんは早速、私に情報を送ってくれた。
二人の本名は分かった。それだけでない。サービスで公安の職員の名簿までもらえた。しかも、顔写真付きで。
これは使える。
私はほくそ笑む。
私は蓑傘と早速、会う段取りをつけた。
繁華街で蓑傘に車で拾ってもらう。
「先ずは何方に向かいますかね」
「蓑傘さんとドライブを楽しみたいわね」
「ご冗談を」
蓑傘はフッと息を洩らすように笑う。
最初に狙うのは峰島だ。
先ずは峰島を捕らえる。後は何処かに監禁して、拷問でも何でもして、今回の件を吐かせるまでだ。
見限はその後だ。
ただ、常に『蠍』には注意をしていなければいけない。
私達は車で繁華街を抜け、一軒の寂びれたバーへと向かった。
公安の職員達が好んで使うバーだ。
ここを調べ上がることが出来たのは公安職員の名簿のお陰だ。
何枚もの公安職員の顔写真を使って、聞き込みを行い、この店を公安職員の何人かが利用している事が分かった。
後は、峰島が現れるのを待つしかないと言う厳しい状況ではあったが、二人での張り込みなら、退屈な時間も少しは紛れるでしょう。
三日間くらい、時々交代をして張り込んだだろうか。
紺色のスーツを着た一人の女性がバーに向かって歩いてきた。
間違いない。
峰島だ。
私達はニヤリと笑う。
私は車から出て、峰島に声を掛けようとするが、蓑傘が私より先に走り出す。
蓑傘は峰島に声を掛ける。
話をしていると思えたのは数十秒で、峰島は蓑傘を突き飛ばし、走り去ろうとする。
蓑傘は峰島を後ろから捉えるが、投げ飛ばされて、蹴り上げられてしまう。
流石、公安さん。
少しは鍛えてるね~。
私は走り出そうとした峰島の前に立つ。
「久しぶりね。峰島さん」
「あっ、貴方は、レイラさん。どうしてここに」
驚きを隠せない峰島。
「貴方に色々と教えて貰いたいことがあるの」
「どんな事ですか?」
「そうね~。たくさんあるわよ。公安の奈賀月 香奈(なかつき かな)さん」
「どうしてその名前を。貴方は何者なの」
奈賀月は一気に表情を変え、私に右のパンチを打ってきた。
左斜めに身体を傾けてかわす。
左の蹴りが飛んでくる。
バックステップでかわしてニヤリと笑う。
焦りの表情を浮かべながらも、奈賀月は右のパンチを放ってくる。
左サイドに動き、パンチをかわすと同時に、左のボディーブローを叩き込む!
身体をくの字にまげて、ヨロヨロと下がり出す奈賀月。
右ストレートで顔面を打ち抜く。
尻もちをつく奈賀月。
奈賀月は顔と腹を手で抑え、必死になって立がる。
ふら付く奈賀月の背後に蓑傘が立つ。
蓑傘は右腕で奈賀月の首を絞め上げて、一気に落とした。
「レイラさんもお人が悪い。一発で仕留める事が出来たでしょうに」
蓑傘が厭らしい笑みを浮かべる。
「私はか弱い女性ですよ」
私も厭らしい笑みを浮かべる。
蓑傘は意識を失い倒れ込んだ奈賀月を抱え上げ、車のトランクの中へと入れ、私達は蓑傘が手配した郊外の小屋へと向かった。
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