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小屋に着き早速、奈賀月を椅子に座らせて、ロープで縛り上げておく。
蓑傘はこれからここで行われる事の録画のスタンバイをする。
録画の準備が整うと、奈賀月が意識を取り戻す。
「レ、レイラさん。どういう事なの。どうしてこんな事をするの。私は貴方達に何もしていない」
「直接的にはね。けど、貴方達の行動により多くの人達の命が失われた。制裁を加える価値はあるでしょう。それと、今回の件の顛末をしっかりと喋ってもらうわよ」
私は右手にナイフを持ち、奈賀月のシャツを切り裂く。
怯える奈賀月。
「わっ、私は何も知らない」
「惚けても無駄。見限と繋がっていたのは知っている。彼も公安でしょう」
奈賀月の表情が変わる。
公安にしては顔に表情が出やすいはね。
「綺麗な顔のままで解放されたかったら、さっさと喋りなさい」
私は笑みを浮かべて、ナイフで奈賀月の顔をなぞる。
ガタガタと震えだす奈賀月。
「私は何も知らない」
怯えながらも、必死に私を睨みつける。
「強情ね~。何時まで持つか楽しみだわ」
私はナイフを奈賀月の顔に当てるのを止め、彼女の正面に座り眺め続ける。
「何をする気なの」
「何もしないは。貴方をこのまま交代で見つめ続けるだけ。ゾクゾクするでしょう」
「何処かの変態と一緒ね」
「良いのかな~。そんなこと言って。食事抜きにするよ~」
意地悪な笑みを浮かべて見せる。奈賀月の表情が強張る。
「冗談よ。食事はちゃんと与えるから安心して」
蓑傘と交代で奈賀月の前に座り、見つめ続ける。
適当なタイミングで無理やりペットボトルの水を飲ませる。最初は抵抗こそされたが、平手打ちを顔面に叩き込んだら、大人しくなった。
奈賀月の身体がモゾモゾと震えるように動き出す。
「おっ、お願いっ。トイレに行かせて」
「これに好きなだけどうぞ」
笑みを浮かべて、バケツを椅子の下に置く。
「水分が不足しないようにもっと水を飲ませて上げる」
水の入ったペットボトルを口の中に押し込む。
「けっ、ケダモノ!」
奈賀月は咳き込みながら必死に叫ぶ。
水を飲ませるのを止め、また奈賀月の目の前に座る。
時折、身体をビクンと震わせる奈賀月をじっと見つめる。
奈賀月はこらえきれなくなり、失禁した。
バケツにポタポタと尿が落ちていく音が響く。
「おむらししちゃったね。この動画、高く売れそうだね~」
「こっ、このケダモノが~!」
奈賀月は大声を張り上げ、立ち上がり、椅子を私にぶつけてきた。
椅子がぶつかった衝撃に敵わず、後ろに倒れ込む。
小屋の出口に向かって一気に走る奈賀月。
耳に入るは、蓑傘の大声と車のエンジンの音。
私はゆっくりと立ち上がり、小屋の外に出る。
蓑傘がもう一台の車に乗り込み、待っていた。
そう。
奈賀月がロープを切り脱出して、車を奪って逃走することは計算のうち。
私は車に乗り込み、奈賀月の後を追う。
「レイラさんは本当にお人が悪い」
蓑傘は笑みを浮かべ、車のアクセルを踏み込む。
「慌てなくて大丈夫よ。彼女の身体には色々な物を装着してあるから」
奈賀月が意識を失っている間に、盗聴器、発信機、盗撮用のカメラ等、色々と装着させてもらった。
奈賀月は必ず見限に会いに行くはず。
私達は発信機の動きを確認しながら、慌てずに奈賀月を追いかければ良いだけだ。
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