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先ずは組に上手く取り入ることだ。
手始めに自分については、情報屋のレイラと名乗る事にした。暫くは繁華街をうろつき、二つの組の情報集めを始める。
何日か続けていたら、知り合いも出来てきた。ロクな連中じゃないけど。
こうしていれば、そのうち相手の方から寄ってくる。
二つの組にとって、私は不都合な存在になってくるから。
どちらかの組が私を味方にしようとするでしょう。
抗争において、情報ほど重宝するものはないからね。
私は今日も二つの組の情報収集に動き回る。
繁華街の薄暗い裏通りを歩き始める。表の世界とは縁のなさそうな連中が集まりやすい場所にこそ、裏の世界で使える情報が集まっているからね。
裏通りで嗅ぎまわっていたら、かなりガラの悪い若い男が、両手をポケットに入れた状態で、私に近づいてきた。
「姉さん。俺達の事を嗅ぎまわっているようだけど、何か用でもあるのかい」
ニヤニヤと笑いながら話しかけてきた。
思っていた通りだ。必ずどちらかの組の人間が絡んでくると思ったよ。
「あら。そう見えた?おかしいわね。道を尋ねていただけなのに」
ふざけた感じで惚けて見せる。
「舐めた口を聞いてくれるじゃねえか!」
若い男は私に大声で威嚇をすると同時に、身体を接近させ、壁に手を押し付けて、私の前に立つ。
良くあるパターン。驚きもしない。不敵に笑みを浮かべて見せる。
「何がおかしい!」
「こんな事をされる覚えがないから」
「ふざけてるのか。女でもタダじゃおかないぞ」
男は凄んできた。
「大真面目ですよ。貴方達にとって耳寄りな情報をもっていますよ。龍昇会の方ですよね。それと、暴力反対なんですけど~」
厭らしい笑みを受かべながらも、きっちりと睨み返す。
「何故、分かった」
「勘で言ったんですけど、当たっちゃいました」
男は舌を鳴らして、右手を壁に押し当てるのを止める。
「貴方の上の方に会わせてもらえるかしら。かなり良い情報をもっていますので。きっとお役にたちますよ」
厭らしい笑みを浮かべ、嫌な目付きで男を見つめる。
「その情報が使い物にならなかったら、海の藻屑にしてやるからな」
「どうぞ。ご自由に」
「ついて来い!」
男は振り向きながら私に怒鳴りつける。
私はこの男と龍昇会の事務所へと行くことになった。
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