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『喧嘩ってことは断ったってこと?俺が言うのもなんだけど、美和はいいやつだぞ?本気で聡くんのこと想ってるし、現に高校生の時はそんなこと一切言わなかったろ?』
「良い子悪い子の話じゃないんだ。俺は教師で佐野は元とはいえ教え子。そういう関係にはなれない」
『なんで?』
「なんでって……」
『聡くんが真面目なのは知ってるけどさ。俺から見てて、聡くんだって美和のこと意識してたじゃん?』
「は?」
『他の女子に対する態度とちょっと違ってたけど。あれ無意識?』
有意識でたまるか。でも……。
思い返してみれば年齢を超えた会話がいつも楽しかった。こんな子がずっと側にいてくれたらなんて……思ったことが全くなかったわけじゃない。
『地学部棟の裏ってさ、前は古い建物があったけど更地にして、今は休憩スペースになってんだ。美和のお気に入りの場所』
「そうなのか?」
『行ってやってよ。雪積もっちゃうから。で、今度4人でどっか遊びに行こうよ』
「……」
俺が黙っていると、電話はすぐに切られてしまった。同時にまた鼻頭に雪が当たって消えていく。
「雪の中の蝶か。……やっぱそうだよな」
俺は一人で頷くと、スマホで一つの番号を呼び出しつつ地面を蹴った。
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