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「どうかした?」
なんだろう、この家主の彼氏感は。まさかこいつ、宮野を差しおいて佐野と?
妄想を巡らせる俺を不思議そうに見ていた翔は、すぐに奥の扉のほうへ首を捻った。
「美和、聡くん来たぞ!入ってもらっていいな?」
すぐに「どうぞ」と短く返事があり、続いて女子同士の楽しげな笑いが漏れ聞こえてくる。
「宮野もいるのか?」
「そう言ったじゃん。今美和と料理中だよ。ほら、入って入って」
翔が呑気に入室を促してくるのでとりあえず靴を脱いだのだが。同時にこいつが掴んでいるものに思わず目を見開く。
「おいちょっと待て。なんだそれ?」
「ああこれ?」
なんの躊躇もなく、翔はそれを広げた。ピンク色のレースがピラピラと揺れている。
「美和のパンツじゃん?」
「はあ?」
「俺、さっきまで風呂場にいたんだよ。手前の脱衣所の洗濯機に引っかかってたから、干し忘れじゃないかと思ってさ。早く干さないと生乾きの洗濯物ってすぐ臭くなるじゃん」
単調に言いやがった。彼女持ちの従兄弟が女友達のパンツを握っている不純さに、俺の怒りはもう爆発だ。
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