5

1/1
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

5

「旨いよ美和(みわ)!このフルーツサラダとか、瑠璃(るり)が作るのと味が一緒だ!」 「瑠璃(るり)ちゃんに教えてもらったんだもん。当たり前でしょ」 「カレーは私が美和(みわ)さんに教えていただきました。美和(みわ)さんは私なんかよりずっとお料理上手です」 「もう、おだてないで。そんなことないよ」 姉妹のように仲が良い2人をぼんやり眺めているといつの間にか箸が止まってしまっており、それに気づいたらしい佐野(さの)が不安げな顔になる。 「先生どうかしました?カレー苦手でした?」 「いや、好きだぞ。こんなに旨いカレーなら毎日でも食べたいくらいだ」 佐野(さの)は困ったような笑みを浮かべた。しまった、今のはセクハラだったか? 「悪い。えっと……そういや宮野(みやの)、お前勉強はいいのか?もうすぐ受験本番だろ?」 「AO入試だったので(しょう)くんと美和(みわ)さんの大学に内定いただいてますよ。言いませんでしたっけ?」 そうだった。外国語堪能で優秀な宮野(みやの)は、早々に進学先が決まったと教えてくれたじゃないか。 「聞いてた。そうだったな。じゃあ3人とも同じ大学か」 「椎名(しいな)先生も卒業された大学なんですよね?」 「そう。つっても実験三昧で忙しかった記憶しかないが」 俺が眉根を寄せると、クスクス笑いながら佐野(さの)が紅茶を入れ始める。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!