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「理科大ですから、どの学部もそうですよね。そうだ、来月の学園祭でも子ども向けの実験コーナーが充実するみたいですよ」 「ああ、俺もそんなのやらされたなぁ」 小中学生向けに色々企画して、ペットボトルのロケットを飛ばしたり水の色を変えたりミニ火山を噴火させたりとまあ……結構楽しかった。 「そういえば……」 笑顔の佐野(さの)はそのまま急に言葉を止めた。 「なんだ?」 「いえその。おぼろげですけど、私も小学生の頃に両親とあの大学の学園祭に遊びに行ったんですよ。確か雪が降ってて……」 あの学園祭は熱気が凄く、雪や雨でも決行されていた。さすがに荒天になると建物内での開催になるが、中止というのはこれまで一度もないはずだ。 「真っ白な雪の中に、蝶がいたんですよ。白い蝶が」 「は?」 「花の蜜を吸うように何羽も。変わった光景で印象的で」 俺は首を傾げつつ淹れたての紅茶を口に運んだ。 「冬に蝶?」 そこで(しょう)とばっちり目が合った。その瞬間、(しょう)は満面の笑みになって大きく手を叩く。
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