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「だよなぁ」
頭をかきむしる毎日。気づけばもうあれから2週間だ。
図鑑がダメなら現地調査だと、俺は金曜の夕方に急いで件の大学へ向かう。かなりの寒さだと思いながらスマホで天気予報を見てみると、今夜遅くから雪が降るらしい。せっかく時間をつくったが今日は早々に済ませよう。
そう考えて敷地に入ろうとすると、正門前で佐野が出迎えてくれた。
「すみません。平日なのに調査なんて」
「俺が来たいって言ったんだ。でも今夜は雪らしいから早く帰った方がいいな。それで、植物園はまだ開いてるか?」
「はい。でもどうして植物園?」
「温室だから、もしかしたら昆虫が生きてたりしないかと思ってな」
正門から入ってすぐの場所に、一般入園もできる大学所有の植物園がある。閉園直前になんとか受付を済ませて園内をくまなく歩いてみたが。結果的に蝶は飛んでいなかった。受付で話を聞いてみるも、やはりこの時期に昆虫なんていないとのことだ。
「ここも外れだったか。まあ、普通に考えてそうだよな」
キャンパス内の石畳を歩きながら言うも返事がない。目線だけで横を見てみると、佐野は植物園のパンフレットの表紙を嬉しそうに眺めていた。
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