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鳥の声の代わりに、銃声で迎えるような朝ではあるけれど、目が覚めないよりはよっぽどいい。
遠くの悲鳴に耳を澄ませる。見えない悲劇に目を凝らす。
ぼくは生きているのだと実感できるから。
冷たい銃器が心地よく、いつからかその引き金を引くことに躊躇いを覚えなくなった。生きたままの感染者は撃ちにくいというぼくの唯一の悩みもとうに消え去った。
戦場では悩んでいる暇なんてないのだから消えて当然だ。みんな同じ壁を乗り越えて大人になっていく。そうして生き残った人たちがぼくらのような少年に生きる術を教えこむ。
そう、たとえば、足を鳴らす方法。
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