雪の日の思い出

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雪の日の思い出

 よそ見をしていて大きな水たまりを思い切り踏んでしまった。  周りに車も人もいないからと歩きスマホをしたことにバチがあたった。  やっぱり歩きスマホはよくないな、とため息をつきながら完全に水に浸かってしまった足をそぅろと持ち上げた。ひんやり冷たいが、歩くには問題ないだろうと一歩踏み出し――ぐちょ、というあのなんとも言えない不快感たっぷりの音と共にじょわりと靴下が滲む感覚がした。  そう自覚すると、あっという間に濡れた布独特の気持ち悪さと冷たさが靴の中でじわりと広がる。飛び跳ねた水が運悪くたっぷり靴の中に入り、靴下がしっかりと吸ったらしい。今日は厄日だ、と思いながら盛大なため息をついて、ふとデジャヴを感じた私は、ああそうだ、と高校の頃を思い出していた。
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